人生成り行き

立川談志と向井秀徳と押井守を師と仰ぐ画像解析系AIエンジニアの日記

演劇「みんなしねばいいのに」- うさぎストライプ 感想

友人に誘われて京都のアトリエ劇研で鑑賞した「みんなしねばいいのに」- うさぎストライプの簡単な感想を.

演劇を観に行ったのは初めてで,雰囲気が楽しめればいいかなぁという軽い気持ちで行った.

演劇に慣れてなくて内容に集中しきれたわけではないので,解釈はかなり間違っていると思いますが,予めご了承を.

あらすじ

霊が出ると曰く付きの,病院の女子寮が舞台.

主人公がふと呟く「みんなしねばいいのに」という言葉に共鳴するかのように,世界が狂気に満ちていく.

女子寮に住む3人の看護婦たちの,その世界への三者三様の反応.

 

本作では世界が狂気に満ちていくことの象徴として,終わらないハロウィンを舞台にしており,その中では仮装して常識から解放された人々が軽々しく他人を傷つけている.

世紀末的な世界を生きながら,主人公はそれまでの息苦しい生活から解き放たれ,それまで自身の心の奥底に押し込めてきた感情を大衆に向かって吐露する.

その一方で,そんな世界の中でも男と結ばれ,幸せを見つける女性と,世界とともに狂っていく彼氏(多分,医者)を持ち,気持ちが荒んでいく女性が描かれている.

ラストでは,主人公自身も命の危機に晒され,死と向き合う.

主人公は部屋に住まう霊との対話の中で,生きているのと死んでいるのはほとんど同じだということを聞く.

感想

世界系みたいな話は映画評論でよく聞くけど,本作はまさにそれで,世界が主人公の希望するものに変容する.

最終的には彼女は地獄のような生活に向き合うことができたのだろうか.

正直つかめていない.

 

ただ個人的な感想としては,メインのストーリーというよりは,この作品がコメディ的に演出されていることが非常に面白く感じた.

特に,主人公が「みんなしねばいいのに」と呟くシーンとかは,強調しなくてはならないはずなのに,一方で同じ舞台の上で非常に笑えるやりとりがなされている.

このシーンには鳥肌が立った.

映画とかだと,セリフは脳内で分割しづらくて,並列的に出来事を並べるというのが出来ないけど,一方で演劇だと舞台が空間的な広がりを持っているせいか,上手く脳内で並列に処理してくれる.

演劇一般に使われる手法なのかもしれないけど,僕には新鮮で,感動した.